一口にハエと言っても、私たちの身の回りには様々な種類が生息しており、その種類によって好む産卵場所も異なります。代表的なハエの種類とその産卵場所の特徴を知ることで、より的を絞った対策を講じることが可能になります。最も一般的で、家屋への侵入も多いのが「イエバエ」です。体長は6ミリから8ミリ程度で、灰黒色をしています。彼らは非常に雑食性で、生ゴミ、動物の糞、腐敗した食品など、あらゆる有機物に産卵します。特に、湿り気があり、発酵・腐敗が進んでいる場所を好みます。キッチンのゴミ箱や排水口、家畜の糞尿などが主な発生源となります。「クロバエ」もイエバエと並んでよく見かける種類です。イエバエよりやや大きく、体が黒く光沢があるのが特徴です。彼らは特に動物性の腐敗物を好み、動物の死骸や生ゴミの中でも肉や魚のアラなどに産卵する傾向が強いです。そのため、ゴミ処理場や畜舎周辺などで多く発生します。「ニクバエ」は、卵ではなく直接幼虫(ウジ)を産み付けるという特徴を持つ種類が多いです。体長は10ミリ前後で、胸部に3本の黒い縦縞があるのが特徴的な種もいます。その名の通り、動物の死骸や生肉、糞などに幼虫を産み付けます。傷口などに産み付けることもあるため、衛生上特に注意が必要です。キッチンなどで見かけることが多い小型のハエとしては、「ショウジョウバエ」が挙げられます。体長2ミリから3ミリ程度で、目が赤いのが特徴です。熟した果物や野菜、発酵した食品、お酒や調味料などに引き寄せられ、それらの表面や、ゴミ箱の中の果物の皮などに産卵します。腐敗した植物質が発生源となることもあります。「チョウバエ」は、浴室や洗面所、トイレなどの水回りでよく見られます。体長数ミリで、ハート型の翅を持ち、壁に止まっていることが多いです。排水口や浴槽のエプロン裏、浄化槽などに溜まったヘドロ状の汚れの中に産卵し、幼虫はそのヘドロを食べて成長します。このように、ハエの種類によって産卵場所の好みは様々です。発生しているハエの種類を見分けることができれば、その発生源を特定しやすくなり、より効果的な駆除・予防策を立てることができます。
ハエの種類別産卵場所の好みを探る