家の中で、いつの間にか小さな蛾がひらひらと飛んでいるのを見かけることはありませんか。特にキッチンやクローゼット、食品庫などで発見されることが多く、その存在は不快なだけでなく、食品や衣類への被害につながる可能性もあります。これらの小さな蛾は一体どこからやってくるのでしょうか。その侵入経路と正体を知ることが、効果的な対策の第一歩となります。家庭内でよく見かける小さな蛾として代表的なのが、「メイガ類」と「イガ類」です。メイガ類の代表格である「ノシメマダラメイガ」は、体長7ミリから8ミリ程度の小型の蛾で、羽に特徴的な帯模様があります。彼らは主に穀類や乾燥食品を好み、米、小麦粉、パスタ、菓子類、ペットフード、ドライフルーツなどに発生します。侵入経路としては、購入した食品にすでに卵や幼虫が付着していたケースが非常に多いです。精米工場や倉庫、店舗などで混入し、そのまま家庭内に持ち込まれ、保管中に孵化・羽化して成虫となって現れるのです。また、成虫が窓やドアの隙間、換気扇などから外部から侵入してくる可能性もあります。一方、イガ類の代表である「イガ」や「コイガ」は、衣類害虫として知られています。体長は5ミリから7ミリ程度で、淡い黄褐色や灰褐色の地味な色合いをしています。彼らの幼虫は、羊毛(ウール)や絹(シルク)、カシミヤなどの動物性繊維を食べて成長するため、クローゼットやタンスの中の衣類、カーペット、ぬいぐるみなどが被害を受けます。侵入経路としては、成虫が屋外から窓やドアの隙間を通って侵入し、クローゼットなどに産卵するケースや、洗濯物を取り込む際に付着して入ってくるケース、あるいは中古の家具や衣類に潜んでいたケースなどが考えられます。これらの小さな蛾は、種類によって好む餌や発生場所が異なります。家の中で見かける蛾がどちらのタイプに近いか、どこでよく見かけるかを観察することで、発生源を特定し、的確な対策を講じやすくなります。彼らはわずかな隙間からでも侵入し、気づかないうちに被害を広げている可能性があるため、油断は禁物です。