あれは、週末の昼下がり。家族のためにお好み焼きを作ろうと、キッチンに立った時のことでした。戸棚の奥から、少し前に買ったばかりだと思っていた大袋の小麦粉を取り出しました。ボウルに小麦粉を計量しようと、袋を開けた瞬間、何かがおかしいと感じたのです。粉の表面が、均一ではなく、どこかざらついているような、そして、微かに動いているような…。「気のせいかな?」そう思いながらも、念のためスプーンで粉をすくって、じっと見つめてみました。すると、信じられない光景が目に飛び込んできたのです。白い小麦粉の中に、体長1ミリにも満たないような、半透明の小さな粒々が、無数にうごめいているではありませんか!それは、明らかに虫でした。おそらくコナダニと呼ばれる種類でしょう。全身に鳥肌が立ち、思わず「ひぃっ!」と短い悲鳴を上げてしまいました。まさか、自分の家の、しかもまだ新しいと思っていた小麦粉に、こんなにも大量の虫が湧いているなんて。ショックと不快感で、一瞬頭が真っ白になりました。慌てて袋の口を閉じ、ゴミ袋に厳重に入れて封をしました。しかし、一度見てしまったあの光景は、脳裏に焼き付いて離れません。あの小麦粉を使って、知らずにお好み焼きを作っていたら…考えただけでもゾッとします。すぐに戸棚の中を全てチェックしました。幸い、他の食品には被害は及んでいないようでしたが、念のため、開封済みの粉物や乾物は全て処分することにしました。原因は何だったのでしょうか。袋の口をしっかり閉じていなかった?保管場所の湿気が高かった?それとも、購入した時点ですでに…?考えても答えは出ませんが、今回の出来事で、食品の保管方法について深く反省させられました。たかが小麦粉、と油断していた自分を恥じました。もう二度とあんな思いはしたくありません。これからは、密閉容器での保存を徹底し、早めに使い切ることを心に誓いました。あの小さな侵入者たちがもたらした恐怖は、私にとって大きな教訓となったのです。
恐怖小麦粉に潜む小さな侵入者