とある住宅街に住むBさんの家では、数週間前から奇妙な虫が頻繁に出没するようになりました。それは黒褐色で細長く、一見するとハサミムシのようにも見えます。しかし、Bさんは以前見たハサミムシとは少し違うような違和感を覚えていました。お尻にハサミがあるのかないのか、動きが素早いためはっきりと確認できません。特に、雨が降った後や湿気の多い日に、浴室や洗面所、玄関のたたきなどで見かけることが多く、日に日にその数が増えているように感じられました。最初は市販の殺虫剤で対応していましたが、きりがありません。不安になったBさんは、スマートフォンのカメラでその虫を撮影し、インターネットの害虫駆除業者のサイトにある無料相談フォームから画像を添付して問い合わせてみました。すぐに業者から返信があり、写真だけでは断定できないものの、おそらく「ヤスデ」の一種ではないかとのことでした。ヤスデは湿気の多い場所を好み、特に梅雨時期や秋雨の時期に大量発生して家屋に侵入することがあるそうです。ハサミムシと違い、ヤスデは毒を持たず人を咬むこともありませんが、不快感を与える不快害虫として知られています。業者のアドバイスを受け、Bさんは改めて家の周りを調査しました。すると、家の北側、浴室の窓の下あたりにある花壇の土が常に湿っており、そこに設置していた古い植木鉢をどかしたところ、無数のヤスデがうごめいているのを発見しました。どうやらここが発生源となり、湿気を求めて家の中に侵入していたようです。Bさんはすぐに花壇の土壌改良に取り掛かり、水はけを良くしました。また、家の基礎周りや窓のサッシの隙間などに、業者に推奨されたヤスデ用の粉剤を散布しました。さらに、家の中に入ってきたヤスデは掃除機で吸い取るようにしました。これらの対策を講じた結果、数日後には家の中でヤスデを見かけることはほとんどなくなりました。Bさんは、「ハサミムシだと思い込んでいたら、対策が違っていたかもしれない。専門家に相談して正体と発生源を突き止められたのが良かった」と語ります。この事例のように、ハサミムシに似た虫の正体を正確に知ることが、効果的な駆除と再発防止に繋がるのです。