トイレや洗面所などの湿気が多い場所で見かけるのは、チョウバエやカマドウマだけではありません。ダンゴムシに似た「ワラジムシ」や、銀色で素早く動き回る「シミ(紙魚)」なども、しばしば「便所虫」と混同されたり、一緒に発見されたりすることがあります。これらの虫も、基本的には不快害虫として扱われますが、その生態や対策にはそれぞれ特徴があります。まず「ワラジムシ」ですが、彼らはダンゴムシと同じく甲殻類の仲間で、陸上生活に適応しています。しかし、乾燥には弱く、常に湿った環境を必要とします。そのため、浴室や洗面所の床、あるいは屋外の落ち葉の下や石の下などに生息し、腐った植物質やカビなどを食べています。家の中に侵入してくるのは、主に屋外から湿気を求めて、あるいは壁の隙間などを通ってやってくるケースが多いです。対策としては、まず家の周りの隠れ家となる場所(落ち葉、植木鉢など)を減らし、清潔に保つこと。そして、家の中の湿度管理(換気、除湿)と、侵入経路となる隙間を塞ぐことが重要です。次に「シミ(紙魚)」ですが、こちらは原始的な昆虫の仲間で、体長1センチ程度の細長い体に、銀色の鱗粉が付いているのが特徴です。非常に動きが素早く、暗くて湿った場所を好みます。彼らは、本の糊や紙、衣類の繊維(特にデンプン糊が付いたもの)、ホコリ、食品カス、カビなどを餌とします。トイレや洗面所だけでなく、本棚や押し入れ、キッチンなどでも見かけることがあります。寿命が長く、飢餓にも強いという厄介な性質を持っています。対策としては、まず餌となるものを減らすために、こまめな清掃と整理整頓が基本です。本や衣類は湿気を避けて保管し、食品カスなども放置しないようにします。湿度管理も重要で、換気や除湿を心がけましょう。侵入経路となりそうな隙間を塞ぐことも有効です。ワラジムシもシミも、人間を刺したり咬んだりする害はありません。しかし、その見た目や、シミの場合は本や衣類を食害する可能性があることから、やはり家の中での発生は避けたいものです。これらの虫を見かけた場合も、チョウバエやカマドウマと同様に、発生原因となっている「湿気」や「汚れ」、「隙間」といった環境要因を見直し、改善していくことが、根本的な対策となります。
ワラジムシやシミも便所虫と呼ばれる