アシナガバチによる被害を防ぐ最も効果的な方法は、そもそも巣を作らせないことです。一度巣が作られてしまうと、駆除には危険と手間が伴います。そこで重要になるのが、アシナガバチにとって巣作りに適さない環境を日頃から作っておくという予防策です。アシナガバチが好んで巣を作る場所には、いくつかの共通点があります。雨風をしのげて、外敵から見つかりにくく、餌となる虫などを捕まえやすい場所です。具体的には、家の軒下、ベランダの天井や隅、窓枠のひさし、エアコンの室外機の裏や内部、あまり使われていない雨戸の戸袋、庭木の枝葉の間、物置の中などが挙げられます。これらの場所を定期的に点検し、巣作りの兆候がないか確認することが予防の第一歩となります。特に、女王蜂が単独で巣作りを開始する春先(4月~6月頃)は、重点的にチェックしたい時期です。巣作りを物理的に防ぐ方法としては、アシナガバチが侵入しそうな隙間を塞ぐことが有効です。例えば、換気口や通気口に目の細かい網を取り付けたり、壁のひび割れや穴を補修したりします。あまり使わない雨戸の戸袋なども、隙間がないか確認しましょう。また、市販のハチ用忌避剤や殺虫剤を、巣を作られやすい場所に予めスプレーしておくのも効果が期待できます。これらの薬剤には、ハチが嫌がる成分が含まれていたり、巣作りを阻害する効果があったりします。ただし、効果の持続期間には限りがあるため、製品の説明書に従って定期的に使用する必要があります。特に春先の女王蜂が巣を作る場所を探している時期に重点的に行うと良いでしょう。もし、巣作りが始まってしまった場合でも、初期段階であれば比較的安全に対処できる可能性があります。女王蜂一匹だけで作っている小さな巣(直径数センチ程度)であれば、ハチが巣を離れている隙を狙って、長い棒などで巣を落とし、袋に入れて処分するという方法も考えられます。ただし、この場合でも反撃されるリスクはゼロではありません。必ず厚手の衣服や帽子、手袋などで体を保護し、顔や首などを露出しないように十分注意して行ってください。少しでも危険を感じる場合は、無理せず専門業者に相談しましょう。アシナガバチを寄せ付けない環境作りは、地道な点検と対策の積み重ねです。日頃からの意識が、安全で快適な住環境を守ることに繋がります。
アシナガバチを寄せ付けない環境作り