私たちの身の回りを飛び回り、時には不快感を与えるハエ。そのしつこさもさることながら、彼らがどこに卵を産み付けているのか、考えたことはありますか。ハエの産卵場所を知ることは、効果的な駆除と予防の第一歩となります。ハエは、本能的に幼虫(ウジ)が孵化後すぐに餌にありつける場所を選んで産卵します。つまり、産卵場所=幼虫の餌場となるわけです。そのため、多くのハエが好むのは、腐敗した有機物が豊富な場所です。具体的に、家庭でよく見かけるイエバエやクロバエなどは、生ゴミ、特に肉や魚のアラ、野菜くずなどが腐り始めた場所に好んで卵を産み付けます。キッチンのゴミ箱や三角コーナー、ディスポーザーの中などは、まさに彼らにとって絶好の産卵スポットと言えるでしょう。また、動物の糞や死骸も重要な産卵場所です。ペットを飼っている家庭では、ペットのトイレの排泄物や、庭に放置された糞などがターゲットになります。屋外では、動物の死骸や、堆肥なども発生源となり得ます。さらに、ニクバエの仲間には、名前の通り生肉や魚に直接産卵する種類もいます。食卓に置きっぱなしにした肉や魚、あるいはバーベキューの後片付けが不十分な場合などは注意が必要です。飲食店などでは、グリストラップ(油脂分離阻集器)に溜まったヘドロや、床にこぼれた食品カスなども、ハエの格好の産卵場所となります。これらの場所に産み付けられた卵は、白くて細長い米粒のような形をしており、一度に数十個から百個以上産み付けられることもあります。気温などの条件が良ければ、卵は半日から1日程度で孵化し、ウジが発生します。このように、ハエは私たちの生活空間の中で、栄養豊富で湿り気のある、腐敗・発酵が進んでいる場所を巧みに見つけ出し、次世代を残すために卵を産み付けているのです。彼らの産卵場所の傾向を知ることで、どこを重点的に清掃・管理すれば良いかが見えてきます。