ある日の夕食後、キッチンで洗い物をしていると、目の前を小さな蛾がひらひらと横切りました。体長1センチにも満たない、地味な色合いの蛾です。「どこから入ってきたんだろう?」くらいにしか思わず、手で追い払いました。しかし、それが悪夢の始まりだったのです。翌日、また同じような小さな蛾をキッチンで見かけました。さらにその翌日には、数匹が飛んでいるのを目にするように。これはおかしい、どこかで発生しているのではないか?不安に駆られた私は、キッチン周りを徹底的に調査することにしました。怪しいのは、常温で保存している食品類。特に、開封済みの小麦粉やパスタ、お菓子などが保管されている戸棚の中を重点的にチェックしました。すると、一年ほど前に買って、封を輪ゴムで留めていただけの古いホットケーキミックスの袋を発見。袋の隅に、何やら白い糸のようなものが絡みついています。そして、袋をそっと持ち上げると、中から数匹の小さな幼虫(イモムシ)と、あの小さな蛾が這い出してくるではありませんか!全身に鳥肌が立ちました。これが、ノシメマダラメイガの発生源だったのです。おそらく、購入した時からすでに卵か幼虫が潜んでいて、戸棚の中で繁殖してしまったのでしょう。私はすぐに、そのホットケーキミックスの袋を厳重にビニール袋に入れ、他の開封済み食品も全てチェック。幸い、他の食品への被害は広がっていませんでしたが、念のため、怪しいものは全て処分しました。戸棚の中を空にして、掃除機で隅々まで吸い取り、アルコールスプレーで拭き上げました。その後、キッチンで小さな蛾の姿を見ることはなくなりました。この経験から学んだのは、食品の保存方法がいかに重要かということです。特に粉物や穀類は、開封したら必ず密閉容器に入れ替え、早めに使い切ること。そして、古い食品を長期間放置しないこと。これを徹底しなければ、またいつ、あの小さな訪問者が現れるか分かりません。皆さんも、キッチンの戸棚の奥に、忘れ去られた食品がないか、一度確認してみてはいかがでしょうか。
キッチンの小さな訪問者ノシメマダラメイガの侵入