チョウバエ駆除において最も重要なのは、その発生源である「スカム」を特定し、除去することです。スカムとは、排水管や排水溝の内壁に付着・蓄積した、石鹸カス、皮脂、毛髪、その他の有機物が混ざり合ってできたヘドロ状の汚泥のことです。このスカムがチョウバエの幼虫の餌となり、繁殖の温床となります。いくら飛んでいる成虫を駆除しても、このスカムが存在する限り、チョウバエは繰り返し発生してしまうのです。では、どのようにしてこのスカムを特定し、除去すればよいのでしょうか。まず、スカムが存在する可能性が高い場所を疑います。家庭内では、浴室、洗面所、キッチンのシンク下の排水管、洗濯機の排水口などが主な発生箇所です。特に水の流れが滞りやすい排水トラップの周辺や、排水管の曲がり角などにスカムは蓄積しやすい傾向があります。発生源を特定する一つの方法は、排水口に粘着テープを貼り付けておくことです。排水口の周りを完全に塞がないように、空気の通り道を少し残してテープを貼ります。一晩置いてみて、テープにチョウバエが付着していれば、その排水口が発生源である可能性が高いと判断できます。スカムの存在が疑われる場合、まずは物理的な除去を試みます。排水口のカバーやトラップを分解し、手の届く範囲のスカムをワイヤーブラシや古い歯ブラシなどで可能な限り掻き出します。この際、ゴム手袋やマスクを着用し、衛生面に配慮しましょう。物理的な除去だけでは不十分な場合や、手の届かない排水管の奥にスカムが存在する場合は、化学的な除去方法を併用します。効果的なのは、業務用のパイプクリーナーや、チョウバエ幼虫駆除専用の薬剤です。これらの薬剤は、スカムを強力に溶解・分解する成分を含んでいます。使用方法をよく読み、適切な量を投入し、指定された時間放置した後、多量の水で洗い流します。熱湯(60度以上)を定期的に流すことも、スカムの形成を抑制し、幼虫を駆除する上で有効な手段です。ただし、熱湯だけでは固着したスカムを完全に除去するのは難しい場合があります。スカムの特定と除去は、チョウバエ駆除の根幹をなす作業です。地道な作業ですが、ここを徹底することが、根本的な解決への最も確実な道筋となります。
チョウバエの巣窟スカムを特定し除去する技術