お米を研ごうとしたら、中に黒くて小さな虫がうごめいていた…そんな経験はありませんか。その虫の正体は、貯穀害虫の代表格である「コクゾウムシ」かもしれません。体長わずか2ミリから3.5ミリ程度の小さな甲虫ですが、お米をはじめとする穀類を食害し、時には大量発生して私たちを悩ませます。その特徴的な長い口吻(象の鼻のように見える部分)で米粒に穴を開け、中に卵を産み付けます。孵化した幼虫は米粒の内部を食べて成長し、やがて成虫となって外に出てきます。米粒の中で成長するため、見た目には虫がいると気づきにくく、発見した時にはすでに多数の米粒が被害に遭っていることも少なくありません。コクゾウムシは、もともと野外に生息していた昆虫ですが、貯蔵された穀物に適応し、世界中に広がりました。日本でも古くから米の害虫として知られています。彼らは温暖な環境を好み、特に気温が18℃以上になると活動が活発になり、25℃から30℃程度で最もよく繁殖します。そのため、春から秋にかけて発生しやすく、冬場でも暖房の効いた室内では活動を続けることがあります。成虫は飛ぶこともできるため、収穫前の稲穂に産卵したり、精米工場や倉庫、あるいは購入したお米の袋に紛れ込んだりして、家庭内に侵入してくると考えられています。一度家の中に侵入し、米びつなどの餌場を見つけると、そこで繁殖を繰り返し、数を増やしていきます。コクゾウムシ自体に毒性はありませんが、食害されたお米は風味が落ち、見た目も悪くなります。何より、お米の中に虫がいるという事実は非常に不快です。大量発生すると駆除も大変になるため、早期発見と適切な対処、そして何より発生させないための予防が重要になります。まずは敵を知ることから。コクゾウムシの生態を理解し、効果的な駆除と予防策につなげていきましょう。