庭仕事をしているときや、部屋の隅で、ふと「ハサミムシかな?」と思うような虫に出くわすことがあります。でも、よく見るとお尻に特徴的なハサミがない…。「じゃあ、この虫は何だろう?」と疑問に思った経験はありませんか?ハサミムシの最大の特徴は、腹部の先端にあるハサミ状の尾鋏(びきょう)です。このハサミがない時点で、その虫はハサミムシではない可能性が高いと言えます。では、お尻にハサミがないけれど、ハサミムシと雰囲気が似ている虫にはどんなものがいるのでしょうか。いくつか代表的な例を挙げてみましょう。まず考えられるのが、ヤスデ類です。細長い円筒形の体をしており、たくさんの短い脚が特徴です。動きは比較的ゆっくりで、色は黒や茶褐色のものが多く、大きさも様々です。ハサミムシのような光沢はなく、どちらかというとマットな質感です。危険を感じると丸くなる種類もいます。お尻にハサミはありません。次に、ゲジ(ゲジゲジ)です。こちらは非常に多くの細長い脚を持ち、体は平たく、驚くほど素早く動き回ります。体色も褐色系ですが、ハサミムシとは明らかに脚の長さと数が異なります。もちろん、お尻にハサミはありません。見た目のインパクトから不快に感じる人が多い虫です。家の中で見かける可能性のある虫としては、シミ(紙魚)が挙げられます。銀色がかった光沢のある体で、細長く、触角も尾毛(お尻の毛)も長いです。動きはクネクネと素早いですが、これもハサミは持っていません。古い本や湿気の多い場所を好みます。これらの虫は、細長い体型や色合い、出現場所などがハサミムシと共通しているため、一瞬見間違えることがあるのかもしれません。しかし、決定的な違いはやはり「お尻のハサミの有無」です。虫を見かけたら、まずはお尻の形状を確認してみてください。ハサミがあればハサミムシ、なければ他の虫である可能性が高いでしょう。脚の数や長さ、体の形、動き方なども観察すれば、より正確に種類を特定する手がかりになります。正しい知識が、無用な不安を取り除き、適切な対応へと繋がります。