家の中でふと壁や床に目をやると、細長い体をくねらせて素早く動く虫を見かけることはありませんか。その姿はどこか原始的で、不快感を覚える人も少なくないでしょう。一口に細長い虫と言っても、その正体は様々です。代表的なものとしては、まず「シミ(紙魚)」が挙げられます。体長は1センチメートルほどで、銀白色の光沢を持ち、触角と尾部に長い毛があるのが特徴です。名前の通り紙類を好み、本や壁紙、衣類などを食害することがあります。特に暗く湿気の多い場所、例えば押し入れや本棚の奥、段ボールの中などに潜んでいることが多いです。幸い人体に直接的な害はありませんが、大切な書籍や衣類が被害に遭う可能性があります。次に考えられるのは「ゲジ」です。一般的にはゲジゲジと呼ばれ、非常に多くの細長い脚を持つムカデの仲間です。見た目のインパクトが強く、動きも素早いことから多くの人に嫌われますが、実はゴキブリやダニなどの他の害虫を捕食してくれる益虫としての一面も持っています。とはいえ、家の中で遭遇したい虫ではありませんね。湿気の多い場所を好み、床下や排水溝周り、植木鉢の下などに生息しています。また、ヤスデの仲間も細長い体を持つものがいます。ヤスデはムカデやゲジと異なり、たくさんの短い脚を持ち、ゆっくりと移動します。刺激を与えると体を丸める種類が多く、不快な臭いを出すこともあります。主に屋外の落ち葉の下や石の下など湿った土壌に生息していますが、梅雨時などに大量発生し、家の中に侵入してくることがあります。人体への害はほとんどありませんが、見た目の不快感や臭いが問題となります。これらの他にも、カミキリムシの幼虫(テッポウムシ)が木材の中から出てきたり、非常に小さいトビムシの仲間が湿った場所で見られたりすることもあります。家の中で細長い虫を見かけたら、まずはその特徴をよく観察し、どの種類の虫なのか見当をつけることが対策の第一歩となります。慌てず冷静に対処しましょう。
家で見かける細長い虫の正体とは