キャンプやハイキング、バーベキューといったアウトドア活動は夏の醍醐味ですが、そこには常に蜂との遭遇リスクが伴います。特にスズメバチなどは、食べ物の匂いに誘われて現れることもあり、楽しい時間が一転して緊張感に包まれることも少なくありません。そんな時に頼りになるのが、自然由来の力強い香りです。その中でも特に効果が高いとされているのが「木酢液(もくさくえき)」です。木酢液とは、木炭を作る過程で出る煙を冷却して液体にしたもので、燻製のような、焦げ臭い独特の強い香りが特徴です。この香りが、蜂に火事を連想させ、本能的な危険信号として作用すると考えられています。使い方は簡単で、水で薄めた木酢液をスプレーボトルに入れ、テントの周りやタープの柱、テーブルの脚などに吹き付けておくだけです。また、布やコットンに染み込ませて、数カ所に吊るしておくのも効果的です。ただし、匂いが非常に強烈で、衣服や身体につくと取れにくいので、取り扱いには注意が必要です。そしてもう一つ、忘れてはならないのが「煙」そのものの効果です。蜂は火事の煙を極端に嫌うため、バーベキューや焚き火をしているだけでも、その煙が天然のバリアとなって蜂を寄せ付けにくくしてくれます。煙の届く範囲は、蜂にとっての安全地帯となるのです。アウトドアで蜂に遭遇したくないなら、この木酢液と煙という二つの強力な武器を覚えておいて損はありません。自然の中で活動するからこそ、自然の力を借りて安全を確保する。それが賢いアウトドアマンの知恵なのです。