ムカデは非常に不快で危険な存在ですが、小さなお子さんやペットがいる、あるいは化学薬品に頼りたくないという理由で、殺虫剤の使用をためらう方もいるでしょう。幸い、薬剤を使わなくても、ムカデを家に寄せ付けない、あるいは侵入を防ぐための対策はいくつかあります。自然の力を借りたり、日々の暮らしの中で工夫したりすることで、ムカデとの遭遇リスクを減らすことが可能です。まず、最も基本的かつ重要なのが、「ムカデが好む環境を作らない」ことです。ムカデは暗くて湿気の多い場所を好みます。家の周りの環境整備を徹底しましょう。家の基礎周りに置かれた植木鉢やプランター、石、瓦礫、落ち葉、朽木などは、ムカデの絶好の隠れ家となります。これらをできるだけ撤去し、整理整頓します。雑草もこまめに抜き取り、風通しを良くしましょう。家の中も同様に、湿気がこもらないように注意が必要です。押し入れやクローゼット、シンク下などは定期的に換気し、除湿剤などを活用して湿度を下げます。床下の換気も重要で、通気口が塞がれていないか確認しましょう。次に、「侵入経路を物理的に塞ぐ」ことです。これは薬剤を使う・使わないに関わらず基本ですが、薬剤を使わない場合はより重要になります。建物の基礎や壁のひび割れ、窓やドアの隙間、換気口、配管周りなどを徹底的にチェックし、パテやコーキング材、隙間テープ、目の細かい網などで物理的に塞ぎます。次に、ムカデが嫌うとされる「匂い」を利用する方法です。ヒノキやヒバなどの木材に含まれる成分や、ハッカ(ミント)、クスノキなどの精油(エッセンシャルオイル)の香りをムカデは嫌うと言われています。これらの精油を水で薄めてスプレーボトルに入れ、侵入経路となりそうな場所や家の周りに定期的に散布したり、ヒノキチップなどを置いたりするのも一つの方法です。ただし、これらの効果は科学的に完全に証明されているわけではなく、効果の持続時間も限られるため、あくまで補助的な対策と考えるのが良いでしょう。木酢液や竹酢液の匂いも忌避効果があると言われていますが、独特の臭いがするため、使用場所を選ぶ必要があります。これらの薬剤を使わない対策は、殺虫剤のように即効性があるわけではありません。しかし、地道に継続することで、ムカデが住みにくい、侵入しにくい環境を作り出すことができます。
薬剤に頼らないムカデ対策自然の力と工夫