衣替えの季節、久しぶりにクローゼットから出した大切なセーターやコートに、小さな穴が開いていてショックを受けた…。その犯人は、もしかしたら「イガ」や「コイガ」といった、衣類を食べる小さな蛾の幼虫かもしれません。これらの蛾は、どこからともなく私たちのクローゼットに忍び込み、気づかないうちに被害を広げていきます。彼らは一体、どこから侵入してくるのでしょうか。そして、どうすれば被害を防ぐことができるのでしょうか。イガ類の成虫は、体長5ミリから7ミリ程度の小型で地味な色合いの蛾です。彼らは光を嫌う性質があり、日中は暗い場所に隠れています。主な侵入経路としては、まず「屋外からの侵入」が考えられます。成虫が、窓やドアの隙間、換気口、網戸の破れなどから家の中に侵入し、産卵場所となるクローゼットやタンスにたどり着くケースです。特に、日没後や夜間に、明かりに誘われて入ってくることもあります。次に、「洗濯物への付着」です。屋外に干していた洗濯物を取り込む際に、成虫や卵が付着していて、そのまま家の中に持ち込んでしまう可能性があります。特に、近くに緑が多い環境では注意が必要です。また、「人や物への付着」も考えられます。外出先で衣服に付着したり、中古で購入した家具や衣類、カーペットなどに潜んでいたりして、家の中に持ち込まれるケースです。これらの侵入経路を完全に断つことは難しいかもしれませんが、対策を講じることでリスクを減らすことは可能です。まず、窓やドアの隙間を塞ぎ、網戸の点検・補修を行います。換気口にはフィルターなどを設置しましょう。洗濯物は、取り込む際によくはたいて、虫が付いていないか確認する習慣をつけます。中古品を購入する際は、状態をよく確認し、必要であれば清掃や防虫処理を行ってから使用しましょう。そして、最も重要なのが「クローゼットやタンス内の環境整備」です。イガ類の幼虫は、衣類の汚れ(皮脂や汗、食べこぼしなど)を栄養源とします。衣類は必ず洗濯やクリーニングで汚れを落としてから収納しましょう。クリーニングのビニールカバーは外し、通気性を確保します。ぎゅうぎゅうに詰め込まず、適度な空間を保ち、定期的に換気を行うことも大切です。そして、防虫剤を適切に使用し、有効期限を守って交換すること。これらの対策を組み合わせることで、イガ類の侵入と繁殖を防ぎ、大切な衣類を守ることができます。