夏の終わりの蒸し暑い午後、庭の手入れをしようと外に出た時のことでした。ブーンという、嫌に存在感のある羽音が耳に入りました。まさか、と思い顔を上げると、そこには間違いなくスズメバチが一匹、私の頭上をゆっくりと旋回していたのです。体長は4センチほどでしょうか、あの特徴的なオレンジ色の頭部と黒と黄色の縞模様。見間違いようもありません。瞬間、全身の血の気が引くのを感じました。数年前に、近所でスズメバチに刺された人がいるという話を聞いていたからです。私は息を殺し、できるだけ動きを小さくしながら、そっと家の中へと後ずさりしました。スズメバチは、私が植えたブルーベリーの木あたりをウロウロと飛び回り、時折、軒下のあたりを念入りに調べているようにも見えました。まさか、巣を作る場所を探しているのでは?その考えが頭をよぎり、恐怖はさらに増しました。家の中から窓越しに観察を続けること数分。スズメバチは相変わらず庭を飛び回っています。ただ迷い込んだだけなら、すぐにどこかへ行ってくれるはず。しかし、明らかにこの場所に何か関心を持っているように見えました。このまま放置して、もし巣を作られてしまったら…。考えただけでも恐ろしく、すぐにスマートフォンで「スズメバチ 1匹 ウロウロ」と検索しました。出てきた情報によると、やはり巣作りの偵察である可能性が高いとのこと。どうすればいいのか。自分で殺虫剤をかけるのは危険すぎる。下手に刺激して攻撃されたら元も子もない。結局、私は地域の役所に連絡し、紹介された蜂駆除の専門業者に相談することにしました。業者の方は電話口で冷静に状況を聞き取り、「おそらく偵察でしょう。すぐに巣があるとは限りませんが、念のため確認に伺いましょう」と言ってくれました。幸い、業者の方の点検では、まだ巣は作られていませんでした。しかし、家の構造上、巣を作られやすい場所があることを指摘され、予防策として忌避剤の散布と、侵入経路になりそうな隙間を塞ぐことを勧められました。あの一匹のスズメバチがもたらした恐怖は、今でも鮮明に覚えています。たかが一匹と侮らず、早期に対処することの重要性を痛感した出来事でした。
あの恐怖再び庭でスズメバチがウロウロした日