家の中で細長い虫を見かけると、「一体どこから入ってきたのだろう?」と疑問に思うのは自然なことです。壁や床を這うシミ(紙魚)、素早く動き回るゲジ、時には大量発生するヤスデなど、彼らの侵入経路を知ることは、効果的な予防策を講じる上で非常に重要です。多くの場合、これらの虫は屋外から家の中に侵入してきます。最も一般的な侵入経路は、建物のわずかな隙間です。窓サッシの隙間、ドアの下の隙間、壁のひび割れ、換気口、エアコンのドレンホースや配管を通すために開けられた壁の穴などが挙げられます。これらの隙間は、人間にとっては些細なものに見えても、体が細長い虫たちにとっては十分な侵入口となり得るのです。特に、ゲジやヤスデは本来屋外の湿った場所を好むため、家の基礎周りや庭で発生し、これらの隙間を通って屋内に迷い込んでくるケースが多く見られます。梅雨時や大雨の後など、屋外の環境が悪化すると、より快適な場所を求めて家の中に避難してくることもあります。また、外に干していた洗濯物や布団、あるいは庭仕事で使った道具などに付着して、知らず知らずのうちに家の中に持ち込んでしまうこともあります。特にヤスデは集団で移動することがあるため、洗濯物などに多数付着している可能性も考えられます。一方、シミの場合は、屋外からの侵入に加えて、別の経路も考えられます。それは、ダンボールや書籍、家具などに付着して持ち込まれるケースです。通販で購入した商品のダンボール、古本、中古家具などにシミ本体や卵が付着しており、それが家の中で孵化・繁殖してしまうのです。倉庫や輸送中に紛れ込んだり、以前の所有者の家で発生していたものがそのまま持ち込まれたりする可能性があります。さらに、集合住宅の場合は、隣接する住戸や共用部分から、壁の内部や配管などを通って侵入してくる可能性も否定できません。このように、細長い虫たちの侵入経路は多岐にわたります。これらの経路を意識し、隙間を塞ぐ、持ち込む物に注意する、家の周りを清潔に保つといった対策を講じることが、彼らを家の中に招き入れないための鍵となります。